来店理由
・エアコンの効きが悪い
点検結果
・エアコンガス不足と判明
エアコンガスを補充すると、冷風が出てきたが、風量が凄く弱く感じた。
同型の車が、同じくエアコンの効きが悪いということでたまたま入庫しており、そちらの車もエアコンガス不足であったので、そちらもガス補充して、風量を比べてみると、明らかに風量に差があった。
正常なほうの車の場合、冷風全開にすると、ハンドルを掴んでいる両手の甲がキンキンに冷えて少し痛いくらいで、さらに、胸あたりまで冷たい風が勢いよくくるので、身体がよく冷える。
しかし、微風の車両のほうは、同条件でも、ハンドルを掴んでいる手の甲は、微風でも冷えるが、胸あたりには風があまり届かないため、冷えてる感がない。
今回は同型車両があるので、両車両のブロアファンモーターをチェンジしてみた。
しかし、状況は特に変化がなく、ブロアファンモーターの回転不足ということではないことがわかった。
風量が弱い場合、ブロアファンモーターの回転不足か、エアコンフィルター詰まり、風量切替が出来ないなどの原因があるが、モーターは問題ないし、この車両にはエアコンフィルターがないし、風量切替も出来る・・・
なんだろうかと考えているところに、お客様から電話がきて、「風向きの切替が動かないので、たぶんワイヤー壊れてると思うので、ついでに修理してください」と連絡が来た。
風向き切替は顔への送風位置となっていた。
動かしてみると、たしかに、ほとんど動かない。
何かに引っかかるような抵抗があり、動かないので、ワイヤーがダメになったのかなーと思い、ヒーターユニットを覗いて見た。
ワイヤーが折れてるようには見えないが、なぜかちょっと動くと、それ以上は動かない。
ここで、不具合原因に気づく。
写真を撮り忘れてしまったが、たしか写真の赤丸のほうが、風向き切替で、もう片方が風量切替だったと思う。
写真は、すでに修理した後のものですが、風向き切替を一番端の顔送風にすると、写真のように、ワイヤーに引っ張られた黒いレバーは、最上位置まで上がります。
しかし、修理前の状態は、ヒーターコントロールの風向き切替レバーは一番端の位置なのに、ヒーターユニットの風向き切替レバーはわずかに最上位置に到達していなかった。
ヒーターコントロールでは、顔にだけ送風するようにしてるのに、ヒーターユニットでは、顔送風だけどちょっとだけ足元にも送風する位置になっていたということです。
顔送風の風量が弱い理由、それは、足元にも送風されていたからでした。
ワイヤーの折れではないので、何が原因なのか探すことにした。
ワイヤーと、ヒーターユニットのレバーを切り離して、ワイヤーをフリー状態にして動かしてみた。
ヒーターコントロール側では動かせない。
ヒーターユニット側ではスムーズ動く。
ということは、ヒーターコントロール側に不具合があるときうことなので、ヒーターコントロールを取外して点検することにした。
オーディオ・メーターパネルを外し、オーディオを取外す。
ヒーターユニットのワイヤー二本と、ダッシュボード側の内外気のワイヤーを外すと、コントローラーが取り外せます。
ヒーターコントローラーを取外した状態です。
車両に取付られてるときとは、上下逆にしてます。
なので、下側から見ている状態です。
コントローラーの風向き切替レバーは顔送風の一番端に来ているのがわかると思います。
しかしよく見ると、赤丸の部分が折れています。
レバーが折れ曲がってるため、先端は端まで到達しているけど、根元側そうではないので、ワイヤーが正常に動かず、ヒーターユニット側のレバーを最上位置まで引っ張り上げれなかったってことです。
これで風向きが、コントローラーとヒーターユニット側で差異が出来た理由が判明しました。
ではなぜ、コントローラー側のレバーは、ほとんど動かず固着するのかを探ります。
原因は、黄色丸部分です。
写真で見ると、レバーの下に、滑走路みたいなものが見えます。
滑走路みたいなものには、白いグリスが塗ってあり、滑りをよくしてます。さらに滑走路みたいなものには、いくつかの溝が刻まれており、レバーが溝ごとに停止することで、ドライバーが狙った風向きに正確に止められるようにしてあります。
しかし、レバーが折れ曲がってるのが原因で、溝部分に引っかかるようになっていました。
おそらく、無理矢理に何度も動かしたでしょうから、レバーは鋭角な金属、滑走路みたいなものはプラスチックですので、溝がさらに削れて、レバーが深く潜るように入り込み、溝を削った残骸が高い壁になって、レバーが乗り越えられず、固着したかのようになっていました。
ということで、レバーが、写真でいうと、右外側に曲がってるだけでなく、下方向にも曲がり、さらにレバー先端側は、水平でなく反時計回転に捻れていることが原因で、切替レバーは動かず、止まってる位置も正確ではなく、そのためエアコンの風量が弱かったという、様々な原因が重なっておりました。
レバー単品の部品供給は無く、コントローラーAssy供給しかないとのこと。
滑走路みたいなものも削れてしまってるので、コントローラーAssy交換でも問題ないのですが、部品が一万円ほどしたため、お客様が難色を示したため、ダメ元で分解して修理してみることにした。
複雑に折れ曲がったレバーを修正し、滑走路みたいなものの、削れた残骸の高い壁をサンダーで削り落とし、削れて深くなった溝部分も、細かい切り口がいくつもあり引っかかるので、なだらかになるようにサンダーで削り、グリスを塗布した。
引っかかることなく、レバーがスムーズに動くようになったが、大きく深く溝が削れた部分は、本来ならばレバーが溝部分で停止するのだが、削られ過ぎてるものをさらに削ったので、ちょっと正確には止まらずちょいズレがあるが、そこはどうしようもないので、そこはお客様に了解を得た。
顔と足の両方送風の位置にすると、数ミリ正確な位置からズレて停止はするが、溝が広くなってるので、お客様がさじ加減で微調整すれば問題なく正常な位置にはなる。
車両にコントローラーを取付て、ワイヤーをヒーターユニットに取付、正常に動いて、正常な位置に止まるのか最終確認。
うまく作動するし、顔送風でエアコンの風量も強く来るようになり、よく冷えるようになった。
エアコンの効きもよくなり、風量も上がり、風向き切替も出来るようになり、部品交換しなかったので安く済んだので、お客様は満足していました。
ただ、どうやってあの金属のレバーを複雑に折り曲げたのだろうかという疑問は残りますね(笑)
ドライバーからしたら、コントローラーの切替レバーの先端についてる小さなツマミを指で動かすだけですよ?
どうやったら折れ曲がるんだろう??
両手でレバー掴んでもビクともせずに、プレス機でやっと曲げれるようなものだったのに・・・。
修理は成功したけど、謎は残ってしまいましたとさ。
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