来店理由
・走行中、気づいたら、バッテリーと、エンジン、アイドリングストップなどの警告灯が点灯していた。
・エアコンが効かず、温風しか出なくなった。
点検内容
・この手の警告灯の場合、真っ先に考えられるのは、バッテリーかオルタネーターである。
バッテリーの電圧が低い場合、バッテリーの警告灯と、バッテリー電圧低下によりアイドリングストップの警告灯が点灯するが、エンジンの警告灯までつくとなると、オルタネーターの故障が考えられる。
・診断機で電圧、発電量を調べた結果、電圧低下と、発電していないことが確認出来た。
診断機で点検してみると、やはりオルタネーター関連の異常であることがわかる。
バッテリー電圧も11Vと低い。
この車両のバッテリーは、数ヶ月前に、こちらでバッテリー交換しているので、バッテリーの劣化は考えにくい。
発電量、オルタネーター出力を見る限り、オルタネーターの異常であることは確定的であるため、オルタネーターの故障と判断した。
オルタネーターの故障と判断したが、ふと、お客様が言った「エアコンが効かなくなって温風しか出なくなった。」という言葉を思い出した。
たしかに温風しか出ないことを確認。
突然冷えてたエアコンが、温風になることと、オルタネーターが故障することが重なるのは不自然である。
もしかして、ベルト切れたのでは??
と思って、エンジンルームを覗いてみると、ベルトがついていない。
アンダーカバーを外してみると、切れたベルトが発見されました。
どうやら原因は、ドライブベルトが切れたことによって、オルタネーターが回されず、発電出来なかったため、バッテリーが低下したことと、このベルトがエアコンコンプレッサーも回すものであったので、ベルトが切れたためにエアコンも効かなくなったということであった。
ちなみに、この車両は、ドライブベルト(オルタネーターとエアコンコンプレッサー兼用ベルト)と、ウォーターポンプベルトの2本がついていますので、一本車両についてるのは、ウォーターポンプベルトです。
ベルトの切れた原因は、劣化と考えられます。
オルタネーター、コンプレッサー、プーリー関係に異常がないことを確認しました。
ウォーターポンプベルトも減っているので、ついでに交換することにしました。
このベルトは、近年の車両のエアコンベルトによく使われているストレッチベルトでした。調整したり、または自動調整のものではないベルトです。
ストレッチベルトの取外し、取付けには、特殊工具を使うのですが、整備書を確認したところ、デミオの場合は、特殊工具を使わずに、手でベルトを無理やり押し込みながら、クランクを回してはめ込むようです。
まずベルトをクランクプーリーの溝にかけ、もう一方をウォーターポンプの出っ張りにかける。(赤矢印部分)
次にオレンジ矢印のクランクを時計回りに回転させながら、ベルトをウォーターポンププーリーの溝に向かって、手で押し込みます。
これでウォーターポンプベルトの交換作業は完了。
次にドライブベルトを交換します。
赤矢印の部分の六角ボルトにメガネレンチをかけて、メガネレンチを思い切り回転させると、赤丸のテンショナーが移動する仕組みです。
先にクランク、コンプレッサーのプーリー溝にベルトをかけ、テンショナーにもベルトをかけて、オルタネーターのプーリーにちょっとだけベルトを引っ掛けます。
この状態だと、テンショナーが伸びきってるので、ベルトはオルタネーターのプーリー溝にかけれませんので、メガネレンチを回転させて、テンショナーを縮めて、ベルトをオルタネータープーリー溝にかけます。
メガネレンチを緩めると、テンショナーが伸びて、ベルトを自動調整します。
あとはクランクを何回転か回して、ドライブベルト、ウォーターポンプベルトにズレがないことを確認し、張りを確認します。
どちらも無調整なので、このあとエンジンをかけて、ベルト鳴きや、ズレがなければベルト交換は終了です。
警告灯が消えていること、診断機で異常がないこと、発電量などを確認して、異常がないことを確認。
最後にアンダーカバー、サイドカバーを取付、タイヤを取付て作業完了です。
バッテリーは先に充電済みです。
今回お客様は、ベルトが切れた状態で一関市内から走行してきましたが、大変危険な行為です。
バッテリーの電気を使い切れば、エンジンが突然停止してしまいますし、そうなるとブレーキも効きません。そのことにより事故が起きる可能性もありますし、オーバーヒートする可能性もあります。
そして今回の場合は、ベルトが横方向に切れたため、問題なかったですが、縦方向に切れた場合だと、ベルトがプーリーの内側に巻き込まれて絡まり、絡まったベルト破片が熱を持って、オイルシールなどを変形させてしまい、走行中、またはエンジンがかかってる状態だと、オイル漏れを起こしてしまい、最悪エンジンが壊れてしまいます。
このように、警告灯が点灯した場合は、すぐに安全な場所に移動して、エンジンを切り、レッカー搬送を依頼するようにしてください。
今回は何事もなく、低料金で済む作業で終わったので、お客様もホッと一安心してお帰りになりました。
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